【プロセニアムの向こう側に】遍在する虚像の群体と普遍的な実在のシンギュラリティ
どうもです。ラブライブキャラソンMADディレクターたけつきです。
MAD「プロセニアムの向こう側に」の全体像的な話をしてみたいと思います。
動画の技術的な話?とかは一切ありません。話すようなこともないしw
AniPAFE2020に参加させていただいております。
参加作品マイリスト:mylist/68326980
詳細:ar1891212
「テーマ:本当の私」
この動画は一体何だったんでしょうか。重箱の隅をつついていきましょう。
では、開演です。
大まかな流れですが、
プロローグ:「私はまだ知らないの…本当のワタシを」
起: 演じることしか出来ない私
承: 演じるって何だろう、自分らしさって何だろう。
結: 演じることが大好きだから
エピローグ:「どこにもいない本当のワタシ」
というかんじですね。
全体的に「演じている私」と「自分自身」との対比で作られています。
彼女にとっての、演技とは、スクールアイドルとは何なのか。
プロローグ:『私はまだ知らないの…本当のわたしを』
彼女が一体どういうことを考えているのか。何を悩んでいるのかを、なぞるようなつくりにしています。
曲が始まる前に、彼女がどういうキャラクターなのかを説明したほうがいいかな?
ということで紹介パートを作りました。
彼女が言ってることは基本的にゲーム(スクスタ)のキズナエピソードに沿ってます。
前後関係が違うのと、僕の捉え方がひねくれてる以外はおおむねそういうキャラ設定です。
放課後、ロケーションを転々としながら悩んじゃうカットが続きます。
自分の表現とは何なのか、自分は何がしたいのか。
「理想のスクールアイドルを演じるんじゃなくて自分そのものを見せる!」
見せてないしw っていうのがやりたかっただけ。
Ambibalence :スクールアイドルと演劇に対する両価性
アイドルを演じる自分と、自分自身を見せることへの迷い。まさにアンビバレンス!
自分のやりたいことを思うままに表現するスクールアイドル同好会のメンバーたち、
「自分らしさとはどういうことなのでしょう。」
「私のしてきたことって何なんでしょう。」
………
さて見て頂いた方、このパートをどう捉えたでしょうか。
ただのキャラ紹介パートではあるんですけど、ゴチャゴチャしてるな。とは思わなかったでしょうか。
キャラクターがロケーションを転々としている風景を映しながら、セリフを独白し、
セリフとは違うテキストが表示され、BGMで歌詞付きの曲が流れてる。
なにがこのシーンの焦点なんだと、いったい何が言いたいのかわからん。
紹介するパートと言っておきながら、それを伝えるには不適切な作りだとは思わなかったでしょうか。
思ったでしょ? 思いましたよね!?
はい、ですから、このパートは「何を言っているのかわからない」パートです。
つまりは、彼女の悩みであり心情です。そんなもの他人が理解できるハズないですからね。
動画の作りとしては不適切だけど、表現としてはこれでいいのかなと自分では思っています。
実は、初めはセリフとロケーションと環境音だけだったんですけど、あまりに彼女が明確に悩みを語るので、なんか違うかなと思ってぐちゃぐちゃにしました。さすがにほんとに何なのかわからないようなノイズで作ると意味が分からないだけになるので、意味を保ちながら錯綜させたかったんですね。
街を徘徊するという、特に意味のない行動をしながら思いにふけります。セリフと、テキストと、曲は、それぞれに意味があるのに、微妙に食い違っていたり、いなかったりする。とてもつかみどころのないシーンです。
彼女はとても賢い子で、自分の悩みを客観的にとらえ言語化し論理的に理解しています。が!
もし本当に自分の悩みの本質を理解しているのなら、それは悩みを解決していることと同義です。
考えても理にかなっていても悩みは解決しない。
何を言いたいのかわからない中で、最初の「私は」と最後の「私のしてきたことは何だったのか」だけは、そのほかの要素が被らず、はっきりと聞こえるようになっています。それがすべてを物語っています。
「みんなはどうやってスクールアイドルをしているんでしょうか。」
個性豊かなメンバーは、それぞれが思い描くアイドルを目指し、形にしていきます。
アイドルの表層をなぞり、演じてばかりの自分にとってのスクールアイドルとは何なのか。
彼女は表層を真似て再現するのが抜群にうまくて、クオリティが高い。それがタチの悪いところ。一定の評価を得られてしまうからね。
演じることが好きな私が目指すスクールアイドル。
自分は何をしてきたのか、何を目指すのか。
シーン∞ プロセニアムの向こう側に、
オードリー「私はまだ知らないの、本当のわたしを」
起:『演じることしか出来ない私』
やっと本編かよ、なげぇわw って人はここまで見てくれてた人w ありがとうw
まぁ興味のない他人の悩みつらつら…を聴いてるなんて、こんなつまらんことはないので、
そういうもんだと思ってくださいw
さぁ、始めましょう。彼女の物語を
あこがれぇ~の お~どぉりぃ~♪
お花畑で踊る少女、それは舞台で表現する彼女の世界。
お花畑好きすぎて、頭がお花畑おじさん。世界はお花畑でできている。
おじさんのお花講座、「ペチュニア」 ふらわーらんぐえっじは「ありのままの心」
そんな世界を舞台の袖から見つめる私
”これはひとりの少女が思い描いたリブレット”
演じてばかりで自分がない私の、「わたし」に寄り添うモノローグ
高いクオリティで演じ続ける”ことしか”できない彼女は何を、どんなアイドルを目指すのか。
”さぁ掴んで見せて、あなたが望むその理想を”
少女振り向き大好きおじさん、ことあるごとに少女を振り向かせる。
振り向き、何を見るでもない表情で彼女は何を見ているのか。
承:『演じるって何だろう。自分らしさって何だろう。』
というのを、画面を通して客観視する彼女。
沢山の自分から本当を見つけるため彼女は自身の深層に触れていきます。
"プロセニアムへの接触を検知 ロジック的に不可逆な深層概念ディレクトリへの接続です。”
何故か急にSFチックw なんでかって、それはね僕の趣味です。
それ以上は行ったら元の状態には戻れないよって言ってますね。
何事も元に戻れることなんてないよ人生だからねw
彼女は別にコンピュータ得意キャラではありません。
なんかチケットを手に入れました。PREMIUM TICKETだそうです。これで入場できるそうですよ。
さぁ扉を開きましょう。
安全なアクセスではありません。「ワタシ」の再構築を開始しますか。
何事も安全なものはないよ人生だからねw
自分の目指すものと向き合いに。
”さぁ、行こう、何処にもいない私のところへ”
観客席からログアウトして向かいましょう
でーん!
タイトル 「プロセニアムの向こう側に」
プロセニアムは劇場などで客席とステージの間にある疑似的な枠の事ですね。ステージと客席を隔てる見えない壁、
演じる自分とそれを客観する自分との境界、その向こう側へ。自分を探しに行こう。きっとそこに答えがあるよ。
英文大好きおじさんは、ことあるごとに英文を飾っていますが、大体シェイクスピアです。
なんとなく場面のそれっぽいことを言ってます。たぶん。
彼女はシェイクスピア好きだからね。演劇部を絵にかいたようなキャラだね。絵だからね。
さて、向こうには何があるのかな。
♪ 本当の気持ち たまにわからなくなる。今の私は誰で何を思う?
たくさんのマネキン、自分の素体から、新しい自分に手を伸ばす。
"こんにちは、新しい私"
でもそんな衣装なんて表面的なものを手に入れたって、何かを見いだせるわけではない。
彼女の悩みのひとつ、「表層」だけうまく組み取り演じ切って、高いクオリティをたたき出す。
そんなところに自分の表現はあるのかな?
暗闇で光に手を伸ばし、光に包まれ、自身が影になる。影がワタシになる。
Who am I ? I am me ?
その掴んだ「衣装」は誰? それが私? わからない。
というシナリオを読んでいる、という本を読んでいる?
演じることしかできない私の、この気持ちや言葉はセリフなのかもしれない。
♪ 自分らしさっていったい何だろう 私を演じることと違うの?
衣装だけじゃ足りない。自分の中にある深層ライブラリーから、それを動かす中身、シナリオを手に入れないと。
”私、台本がないと本当に何もできなくて…"
台本は見つかったかな?
”アドリブが苦手な私を、素敵なシナリオで導いて”
自分の思い描くシナリオに手を伸ばし、それを演じるため彼女は仮面を纏います。
そうやって一体どれだけの仮面をつけてきたのか。
仮面被った自分はみんなにどう見えるのか。
仮面の柄はロールシャッハテストの柄で、観測した側にどう見えるか、それは人それぞれ違うという意図ですね。
♪ 自問自答繰り返すたび 新しい私が生まれるの
無数の仮面を無数の人がそれぞれの角度から見る。演じた私を見た人間の数だけ幾何級数的に増える私。
他人の数と演じた数だけ無数に遍在する私。自分を映すフィルムは一体どれだけあるのか。
遍在虚像イグジスタンスをコンパイルし、実行可能な形式に変換します。
急にSFチック、これはね僕の趣味ですね。 なんやねん「へんざいきょぞういぐじすたんす」ってw
人語では理解できないもの変換中です。
「せれくたぶるぱーそなりてぃもーど」を経て、表層の初期化を行います。
言いたいだけなので気にしないでください。意味なんてないです。
誰でもない私は、誰にでもなれる。
準備ができましたね。では変身だ!
変身少女たちはこのあたりのプロセスをお供の妖精やステッキやらコンパクトが補助してくれるんだろうな。すばらしい。
ここで言う Awarenessは、意識をとらえる用語としてで、人が情報にアクセスし、それを行動に起こしコントロールできる状態のこと。 idealization は理想化ですね。
古来より少女が変身するときは裸体が七色に輝きます。ぼくはそう教わって生きてきました。
なんとかプリズム力で化粧する海軍兵士服の少女のようだよね。
やっぱり変身にはコールがつきもので、
「アウェアネス!」で変身空間を展開して、「イデアライゼーション!」で服が破けます。
本当は30秒くらいの変身シーンがありますが、尺の都合でカットします。
理想化とコールしながら服が破けるからと言って、おじさんの理想化を形どったわけではないよ。決してね!
はい、ご存じの方はご一緒にライティングでスタァライトされちゃいましょう。若干いじってますがw
♪ 新しい私が生まれるの!
デデデデン♪
私は演じることしか出来ないから!
結:『演じることが大好きだから』
いつかきっとおーどりー♪
想い描いた脚本のように煌びやかに演じて……
急にこっちを向いて歌いだします。
さっきまでずっと物語だったのに、急にこっち向いて歌われたら、え?ってなりません?
演劇でいうところの「第四の壁」をぶち破られて、「積極的な不信の停止」に介入されて、
見ている自分を意識させられるの好きなんですよね。あ、物語やなって思う瞬間。
うまくいかないことだってたくさんある。膝は折れ、表層は消えて、深層は割れ、形にならない。
転んだって迷ったって歩みを止めずに、
でも、上手く行かないのなんて、私が諦める理由にはならない。
ゲームのエピソードで、上手く行かないのに、もう次どうするか考えてるの凄いという流れのなか、
しれっというんですよね。「だってそれは私が諦める理由にはなりませんし」
決意をこめて自分を鼓舞するセリフじゃないんですよ。気持ちの持ち方ですよね。
好きなんです。おじさんより20年は生きてそうな少女の達観よ。
それでもあきらめない彼女は、何度でも演じます。
♪ いつかきっとおーどりー 従うんだ衝動に
四季が移り変わろうと演じることを辞めず、台本がボロボロになってもあきらめず。
衝動に従い演じ続ける。その先に答えがあると信じて。
僕は困るとすぐに四季流転させます。 あと羽を生やします。
私は演じることしか出来ないけれど
私は演じることが大好きだから
演じることしか出来ない自分を受け入れて、衣装をまとうような感じかな。本にもそう書いてあるしらんけど。
さぁ、掴むんだ!私が望む、その理想を…
一歩一歩近づくの「だいじょゆう~」
この曲を聴いて大女優って言われるたびに、ふふってなるんですよね。なんか面白くてw 大女優ってw
エピローグ:「どこにもいない本当のワタシ」
並べてみたらちょっと面白かったw @シーン_大女優後光TV.png です。
という自分を画面越しに客観しながら私は思うんです。
答えなんてどこにも無いって。
一体どれだけ仮面を持ってるのかw 演じることのキャパがすごいのよ彼女は。
今回も新しい私を検出しました。エミュレートを適応しましょう。
急にSFチック、何でかって、これは僕の趣味です。
彼女は仮面をはぎ取り、自分の素顔をさらします。
”私の選んだ”それ”が答えになるのなら…”
でも、「演じることが自分」である彼女に顔はない。
自分を参照したら値がないって例外で弾かれた。「ぬるぽ」
演じた役柄の数だけ、私は何度でも生まれ変われる。
そんな演じてばかりの彼女でも、
それでも、それが自分だという想い、目指すものを追いかける自分だけは、本当の自分なのかもしれない。
そんなときだけは、自分の顔があるのかもしれない。
だから私は ー
新しい脚本ができましたね。ようこそ私の新しい世界へ
いつか届く、私の理想に One day I'll reach my Audrey
「目指す先は違うけれど、私と同じように望む先を見つめる仲間たちと一緒なら」
「みんなはどうやってスクールアイドルをしているのか」って背中を見つめるんじゃなくて、
「自分がどうしたいか」なら、みんなと一緒に歩いて行けるんじゃないかな。
シーン∞ プロセニアムの向こう側で
「だから私は、これからも演じ続けます。何処にもいない、本当のワタシを」
という台本でした。
という映像を見ていました。 (終)
主演・脚本 桜坂しずく
ディレクター たけつき
でした。
???:「わたしのこたえ」
最後まで動画を見ていただいた方、なんとここまで読んでいただいた方。まずはありがとうございます。
さて、この動画、テーマというのがあるのですが、ご存じでしょうか。
「本当の私」というものです。
テーマについて語るために、このブロマガ、意図的に書き方をひねている部分があります。
僕は、ずっと、「私もしくは彼女」の名前を出していません。
はい、
クイズです。「私」とは誰でしょうか。
1.桜坂しずく
2.オードリー
3.あるいはその両方
4.そんなものはない
答えは……!!! あなたにそう見えた”それ”です!! デーン!!
では面白くないので、結局僕がどう思って作ったかになりますが、
動画内に答えらしきものがいくつかあります。
一番意図的なのは、冒頭の CAST:Shizuku Osaka です。
キャストが桜坂しずくなので、動画内のキャラクターは「桜坂しずく」ではありません。
もう一つ、この動画は Episode: Audrey です。
そうですね、最初から最後まで、どこにも桜坂しずくはいません。ずっと演じています。
最後のセリフまでもが、台本に書いてあります。的なところですね。
演じ続けることが答えだからね。役者本人なんて何処にもいないよ。
答え合わせ
1.桜坂しずく 20点 間違ってはいない
2.オードリー 80点 正解
3.あるいはその両方 50点 日和った答え
4.そんなものはない 60点 考え方は好きの正解
100点はありませんw
しいて言うなら、エンドクレジットのテレビを見ているキャラクターだけは桜坂しずくです。
別にどう捉えてもらっても、どうとでもなるかなとは思ってます。浅く見ても、深く勘ぐっても、
桜坂しずくを知ってる人も知らない人も、オードリーという曲の経緯を知ってても知らなくても、
それぞれがそれなりに、そう見えればいいなあと思って作りました。
ちなみにオードリーというのは、明言はされていませんが、
演じることしか出来ない「しずく」が、演じるスクールアイドル像として、
自分をモデルに綿密に作り上げたキャラクターです。
彼女はそれを演じることで、その自分を目指すことで、スクールアイドルとしての自分を確立しようと試みています。
彼女曰く、私でもあり、そうでないともいえる、キャラクターだそうです。
スクールアイドルとして、自分を見せたほうがいいんじゃないか?という、ごく当たり前の疑問に対して
普通であれば「自分を表現」する術を模索するのに、桜坂しずくは「自分を役として演じる」という、
なかなかに尖った答えを出しました。
「演じている自分」こそが本当の自分。演じるスクールアイドルを目指すんだと。
この先「しずく」がどうふるまうかはまだ分からないですけどね。それはまた別のお話。
しばらく見届けたいと思いますおじさんでした。
あとがき:この動画は一体何だったのか
冒頭の自己紹介だったり、シナリオを演じてたり、読んでたり、映像を見てたり、
悩んだり、客観視したり、たりたりたり…
そういう彼女の立ち位置の不安定さや、そもそも最初からずっと演じてるっていう彼女たらしめる部分を、絵の作り方やテキストだけじゃなくて、動画の構成?というか造りというか、動画の全体像みたいなもので形にできたら面白いかなと思いました。この動画自体、しずくが演じた結果なんですね。
それを僕はプロセニアムのこちら側から見守っているよ。 なんつってw
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今回、演じていただきました 桜坂しずくさんです。
以上、虹ヶ咲学園 国際交流学科 一年 演技派系スクールアイドル 桜坂しずく と
ラブライブキャラソンMADディレクター たけつき でした。
もう一回いいますが、動画見ていただいて、読んでいただいてありがとうございます。
では、またなんか作った時にでもお会いしましょう。